COLUMN

2023/10/31
お役立ち情報

広がる婚活サービスの現状と特性

 婚活という言葉も社会の中で浸透し、多くの方々が結婚に向け「縁を結ぼう」と活動しています。

 そこで、先日リリースした「婚活実態調査2023(リクルートブライダル総研)」をもとに婚活の現状と今後の婚活について考えていきたいと思います。

活性化する婚活サービス

 2022年婚姻者のうち、婚活サービスを通じて結婚した人の割合は15.4%に達しています。
 これは年間の婚姻者のうち、約7人に1人以上の割合で婚活サービスを通じて結婚したことになり、2000年には1.4% だった状況と比べると、約20年で大きく広がり、結婚に向けた有効な手段になったと言えるでしょう(図1)。

【図1】
婚活サービスを通じて結婚した人の割合(各年ごと)
※婚活サービス:結婚相談所、ネット系婚活サービス、婚活パーティ・イベントの3サービス
※婚活サービス(3サービス)のいずれかを利用し、そのサービスで「結婚できた」と回答した人の割合
※既婚者:初婚者および再婚者も含む

参照元:婚活実態調査2023(リクルートブライダル総研)

 特に、2013年以降は一気に上昇し、浸透スピードが早いことも特徴的で、ここ数年の定着が目覚ましいです。

 また、独身者の利用について見てみても利用経験率は増加傾向で、20代~40代の恋愛もしくは結婚意向がある恋人のいない独身者において、婚活サービスの利用経験割合も25.2%と約4人に1人に達しています(図2)。

 特にネット系婚活サービスの利用経験割合は20%を超え、全体を大きく底上げしています。

【図2】

参照元:婚活実態調査2023(リクルートブライダル総研)

 さらに、婚活サービスを利用して恋人ができた割合は49.5%と4年連続上昇し、過去最高となっている点も、有効な手段となっていると言えます(図3)。

【図3】

参照元:婚活実態調査2023(リクルートブライダル総研)

婚活サービスの特性と広がる背景

 これまで見てきたように、婚活サービスは大きく広がりつつありますが、なぜここまで広がったのか、その特性を踏まえつつ、背景を考えていきたいと思います。


 一つには、婚活サービスの合理性、効率性だと考えます。例えば、2022年の婚姻者のうち婚活サービスを通じて結婚した人の割合に関する構造図をみると、婚活サービスを利用した方が32.7%おり、そのうち47.0%が結婚に至っています(図4)。

【図4】

参照元:婚活実態調査2023(リクルートブライダル総研)

 つまり利用すれば4割以上が結婚できているということになり、これは、他の手段と比較して非常に効率が良いと言えます。

 結婚するために出会うといった目的も明確で、相手に求める条件を意識しながら相互に相性の良さを判断するため、条件をすり合わせる期間が短くすみます。

 また、自身の所属するコミュニティとは外れているので、知り合いの視線を気にするといった煩わしさも比較的少ないという特徴もあります。まさに、コミュニティ内に配慮をし、合理性を重視する世代にとっては、交際相手を探すのに最適な手法になっているのです。


 また、周囲の影響も大きな要因として考えられます。

 周囲に婚活サービスの利用経験者や利用により恋人または結婚ができた人がいる人は、いない人に比べて自身でも婚活サービスを利用経験割合が高いというデータがあります。

 周囲に利用者がいれば、婚活サービスの利用経験者出現割合は約3.2倍、周囲に婚活サービスによって結婚した人がいれば、それが3.8倍となり、婚活サービスが周囲に波及していく特性が分かります。

 以前は怪しいサービスとしての側面もあったと思いますが、自身の知人に利用や明確な効果があれば、信頼性が高まり、安心して自身も利用するということです。この波及も婚活サービスが広がる大きな要因でもあり、今後もサービス利用者が増えていく可能性を感じさせる特性です。

 利用者が今後ますます増えれば、自身にフィットする相手を見つけられる可能性も広がり、ユーザーにとってもますます大切な方と出会える手として広がっていきそうです。

この記事を書いた人

リクルートブライダル総研 所長
落合 歩(おちあい あゆむ)

化粧品メーカーの宣伝部を経てリクルートに中途入社。マーケティング局宣伝企画グループなどを経て2011年よりブライダル総研に異動。2019年より現職。

主に「恋愛・結婚調査」「結婚総合意識調査」「自律的出会いの提言レポート」「少子化課題における解決優先度に関するレポート」など未婚者の動向から結婚、結婚式、夫婦関係に至るまで調査、研究、提言を行う。

また、オリジナルツールの「人生ワゴン」を活用した「ライフデザイン講座」を開発・展開し、多くの若者に結婚、出産などを考えてもらう機会を提供。

テレビ、新聞、雑誌などメディア取材、寄稿および講演多数。経済産業省サービス産業の発展と少子化対策の好循環に向けた検討会委員。

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